Private jetフライトアテンダントとして地球のあちこちを旅するMJのつれづれ日記。***すべての文章、画像の権利はMJにあり、無断転載を禁止します。***   お問い合わせはmaikojazz*excite.co.jpまで。


by maikojazz

カテゴリ:旅先; 西アジア( 6 )

(前回からの続きです)

マカオで、香港に電話をかけながらお客様の希望通りインド料理をケータリングする先を見つけ、空港でも受け取りがうまくいって安心したのもつかの間... いざ離陸し、機内でサービスを始めるころになって私は何をどうサーブするべきなのか知らない!と気づいた(汗)。


銀色のアルミホイルやタッパーに入ったそれらをギャレイ台に並べながら、ううむどうしたものかと迷う。とりあえずカレーっぽい外見のものはレンジでチンしてみよう。パンみたいなナンみたいなのはオーブンで。感覚に任せて進めてみるものの、やっぱり何から始めて何をどうサーブするのが正しいのかわからない。仕方なく、一番ボスのポジションから遠くにいそうな、お手伝いさんっぽい男性に声をかけて打ち明けた。


「申し訳ないのですが教えてください、これらのインド料理をサーブするには何かこつはありますか?何からお出しするべきですか?どんなカトラリーをお持ちすればいいですか?」
すると男性は「全部一緒でいいよ」「それぞれに中くらいのお皿をくれたら私たちは自分でよそるから、料理は大皿でどんと出して」「適当にフォークと、各自の器によそるスプーンを」という感じのお返事。私はてっきり、各自のお皿にどうにかして美しくディスプレイしたものを順番にお出ししなければいけないかと...。


あらまぁ、結構適当なものなのですね... ちょっと拍子抜けしつつも安心して、温めた料理を大きな皿に盛る。Palak paneerは、ほうれんそうとチーズのカレー。

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Mushroom mutterはその名の通り、マッシュルームを生クリームなども入れてこってりと煮付けたようなカレー。

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Alooというのは、じゃがいものことらしい。ナンのようなパン状のものの中に、つぶしてスパイスで味付けしたじゃがいもを練り込んだもの。これをカレーやヨーグルトと一緒に食べるとのこと。



そこに生野菜をちょっとつけたようなピクルスをつけて、お出しして、とりあえずはお客様に満足いただけるようなサービスができたのかな?飲み物を出しながら「機内でインド料理をお出しするのは大変貴重な経験です」と微笑み、一応お客様も「大丈夫、大丈夫」と微笑んでくださったのでよしとしようか。






この後もそれぞれのフライト(デリーからMumbai- Chennai- Bangaloreなど)でお出しするメニューを秘書さんから伺い、宿泊ホテルで料理をすべて手配して問題なくtripが進んでいった。





デリーの喧噪も、

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ムンバイのビーチも、

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チェンナイの一こまも、

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あっという間にすぎてしまったけれど印象深い旅となった。Bangaloreでは夜中に到着してミニマムレスト(便と便の間に乗務員がホテルチェックインからアウトまで確保しなければいけない最短のインターバル... うちの会社は12時間)でまた次の旅へ... ヘトヘトになりながら、心は満たされるような。





友人Sによると、インドは「呼ばれないとたどり着けない場所」だという。初めてのインドに、私もきっと導かれてたどり着いたのだろう。あまりにも強烈な個性を持つインドの人々に辟易、と思っても気づくと恋しく思う。インドって不思議な場所だ。
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by maikojazz | 2009-12-22 10:32 | 旅先; 西アジア
航空会社の機内食とは違ってprivate jetでお出しする機内食には、決まった食事メニューがない。当然、チャーターするお客様の国の食文化や好みなどの情報を事前に得て、ほとんどの場合は私が決める。

Crewの食事は簡単だ。「今度のtripの○○発△△行きの便で食べたいものはある?希望があれば何日までに返信してね」と担当captainたちにメールし、その日までに返事がくればその通りに(だいたい彼らは"sandwich"や、"chicken w/ steamed rice"などのおおざっぱな返事をくれる)オーダーし、こなければ適当に頼んでしまう。あとは適当に3人のcrewが共通でつまめる野菜サラダやパン、スープなどを用意すればオッケー。しかし、お客様はそうはいかない。


(イメージ映像)
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あるtripでは北京〜マカオ〜香港を経由してインドの数カ所を回ることになり、crewはマカオに滞在、お客様を香港でpick upしてインドのデリーに入るというちょっと複雑なことになった。お客様はインド人、すべての機内食はインド料理をご所望。「インド料理」といわれても北から南まで色々あるし、詳しい料理名を下さい!と、私はお客様サイドの秘書さん?に連絡し、こんなリストをもらった。


Dinner:
Indian vegetarian meals
*Daal (Yellow)
*Palak Paneer
*Steamed Rice
*Low Fat Yogurt
*Mutter Mushroom


ここからが私の仕事の始まり。ネットで調べ、マカオから(船で1時間弱の距離でも、一応)国際電話をかけまくって香港にあるインド料理屋さんを探し、指定の日に空港に料理を届けてくれるか交渉する。「機内の冷蔵庫があまり大きくないから、まとめてタッパーに入れてほしい」という勝手なお願いにも応じてくれるシェフに出会えたことはラッキーだ。



出発当日。マカオからフェリーフライト(お客様を乗せずに飛行機と乗員だけ移動)で香港に到着し、あらかじめ話をつけておいた地上係員が無事にインドレストランのシェフから機内食を受け取ってくれたと聞いて、ひと安心。1時間ほどの準備を経て、いよいよお客様をお迎えする時間となった。
天気はいいし、苦労して準備したインド料理の機内食もばっちり手元にあるし、お客様は時間通りに搭乗して万事快調!大変だっただけに、うまくいくとテンションもあがってうきうき笑顔で地上サービス。そしてばたばたと、離陸の時間。


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窓から見える香港の高層ビルたち、そのうちに島々が見えて...


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シートベルトサインが消えて、気づいた。


...この料理たち、何からどうやって出したらいいの...?


(次回に続きます)
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by maikojazz | 2009-12-16 11:55 | 旅先; 西アジア

第三十一回 Delhiにて

ほんの少し北上しただけでも季節感はがらっと変わる。ムンバイでは朝も夜も暑くて風が吹くのをありがたく感じたのに、デリーは朝晩がぐっと冷える。ホテルの部屋からは大統領官邸の屋根と、もやに包まれたデリーの夕日が見える。


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到着してシャワーを浴び、ラウンジでcrewとKingfisher beerを飲んだ。ほどよくリラックスしてベッドに入りうとうとし始めた22時、携帯が鳴った。お客様だ。フライト時間と行き先の変更をご希望とのこと。
電話を切り再びデスクに向かい、彼らの希望をスケジュールセンターにメールし、返信を待つ。

北米やほとんどのヨーロッパでは、制約が厳しくないので(特にアメリカ合衆国はprivate jet専用の空港が多数存在するのでだめと言われることはまずない)、お客様のフライト変更希望はほぼ100%叶う。しかしインドというのは、制約の多い日本よりもさらに色々ややこしい。軍事施設の滑走路を使うこともあるので、訓練の時間帯には離着陸も全くできなくなる。近隣諸国の上空を飛ぶ場合は更に大変だ。ミャンマーやパキスタンのOver flight permit(上空飛行許可)も降りるのに時間がかかるから。
それらを考慮して、できるだけリクエストには答えられるべく私たちも努力するのだ。


「残念ながらこのオプションは無理ですが、こちらなら大丈夫です」
「●時から○時で空港がクローズなので、出発可能なのはこの時間とこの時間です」
そしてお客様からの別な打診をスケジュールセンターに連絡... 部屋から出ることも躊躇したけれど、20分だけごめんなさいと心で謝って、ラウンジで朝食を取った。
(結局食事中にも携帯に連絡があり、もごもごしながらお客様と会話したけれど)


そんなこんなで、結局落ち着いたのは午後4時。旅客数が変わるので、手配していた機内食も量を変更すべくホテルと話し合う。次の日の出発は朝5時なので、もう外出する余裕はなくなってしまった。仕方ない、お仕事だからね。
ホテルの2階にはお土産屋さんや売店が入っている。そこをぶらぶらしてみた。


100%シルクのショールや小物をたくさん売っているお店。布がいっぱい。ふらりとお邪魔してみた。



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カシミール地方から出稼ぎにきているという若い男の子が店番しており「押し付けないから大丈夫、座ってゆっくり好きなものを選んで」と勧めてくれた。
おしゃべりをしながら山のようにあるシルクのショールを選ぶ。日本のこと、カシミールのこと、インドのこと。彼らはモスリムだったので、私がドバイで作ったアラビア語で名前を記したネックレスも読んでくれてびっくり!そういえばこういう月型の飾りもモスリムだものね。



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さて、最後にお会計...と言っても言い値で買ったらおばかさんなので、がっつり値切る。姉にいいかな?と思ったショールは3分の2の値段にした。15枚まとめて買ったシルクのショールは、元々かなりお得な値段だけれど「Flight attendantの口コミってすごいんだよ、だから私に安く売ってくれたらみんなに宣伝してあげる」「ブログにも載せるから」など笑顔ではっきりと値切った。最終的には15%ほどしか安くはならなかったけれど、約束通りここに載せてみようかな(笑)


New Delhiのメリディアンホテル2階
[The Noble House]
ObaidさんとAdilくんのお店です。


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「僕たちの仲間がやってるお店に、お茶を飲みに行こうよ!」と勧められて、そのまま数件先のカーペットやさんに移動した。そこでも「彼女はお店を紹介してくれるんだって!」「じゃあ、写真を撮ってくれ」... ということで、こんな写真も。



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J社のcrewがよくここを訪れるらしく、壁にはJ社のカレンダーがかかっていた。

一瞬のふれあい、きっと二度と出会うことない人々との心通う会話。ありがとう、楽しかったよとそこを去った後、私はインドを恋しく思うだろうなと感じた。



***追記******************************************
ムンバイの銃撃テロについてニュース報道がありました。たくさんの死傷者が出たこと、カシミール地方のイスラム教徒による犯行だったということも知り、この記事を書こうか迷いました。しかし、悪いことの側面にもこんなふうに優しい人たちがたくさん存在することを伝えたく、結局投稿を決断しました。
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by maikojazz | 2008-11-27 13:55 | 旅先; 西アジア

第三十回 Mumbaiにて -3-

機内に搭載するジュースやライムを買いに、近くのスーパーに出かけた。
2年前にはあちこちにいた物乞いする子供たちが、この日はなぜか全くいない。

壁にはボリウッド映画なのか、ドラマなのか分からないけれど広告が貼ってある。


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写真を撮っていたら背中のほうで、きゃっきゃと遊ぶ子供たちの声が。振り向くとそこは幼稚園だった。見るからに異国人の私が珍しいらしく、「ハロー」と恥ずかしそうに言っては隠れる男の子たち。かわいい。柵に登ってみせたりして。




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オートリクシャに乗って喧噪の町を走る。暑くて埃っぽくて、決して綺麗とは言えないのに魅力的なインド。15分弱の距離で12ルピー(24円)。お買い物をしに、ちょっと町に繰り出して正解だ。かわいい洋服をたくさん見つけて、試着して無料お直しまでして1着あたり1200円程度。お直しのおかげで、身体にもぴたりと来るのが素晴らしい。

インドの人々はしょっちゅう「撮影禁止」を言い渡す。たとえそれがスーパーマーケットであろうと、デパートであろうと関係ないのだ。従って、お部屋に戻ってから購入したものを撮影。



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ちょっとだけでも仕事の合間に外に出られてよかった。次のflight先デリーでは、一歩も外に出る時間がなかったから... 。

(次回はデリー編!)
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by maikojazz | 2008-11-24 22:50 | 旅先; 西アジア
**今回は宿泊ホテルのお部屋とレストランでの体験についてです。**


航空会社のcrewと違って私たちには、「無償航空券」の類の福利厚生がない。そのかわり、といってはなんだけれど、乗務や訓練で移動する際のエアラインでマイレージをためたり、宿泊ホテルのポイントをためたりすることができる。

Mumbaiで宿泊したホテルチェーンで私はプラチナ会員なので、チェックイン時に笑顔でさわやかに交渉したらアップグレードしてもらえた。100平米以上あるジュニアスイート。窓からはプールと、Juhu beachが見える。

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残念ながら普段小さなスペースで生活することに慣れている私には猫に小判?ベッドのある部屋以外は冷蔵庫しか使わなかった...。






制服を水着に着替えて、プールサイドへ。一泳ぎしてリフレッシュしたあとはデッキチェアで読書しながら、いつのまにかお昼寝していた。でも暑くて起きるので、あくびをしながらプールに入って涼む。

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夜はpilotsとラウンジでお酒を飲んだ後に、1階にあるSaffronというレストランへ。ここは2年ちょっと前に来て感動した、最高に美味しいインド宮廷料理やさん。オクラと玉ねぎの炒め物とナーンをいただいた。火の通し方やスパイスの使い方をどんなに真似ようとしてもかなわない、堂々とした風格がある一皿。Pilotsも感動。インドはすごいな。

食べ終わった頃、給仕係のお兄さんが「よかったらキッチンを見学しないか」と誘ってくれた。「いいの?ぜひ、喜んで!」とカメラを持っていそいそキッチンへ。

まずは使うスパイスの一部を紹介。唐辛子、カルダモン、ターメリック、シナモン etc.

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ナーンなど、いわゆる粉ものを焼くコーナー。実際に作り方を見せてくれた。




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成形したものをぺたっと釜の内側へ。炭だけで焼く。中は500℃になるそう。

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できたてのあつあつを切って食べさせてくれた。ほわほわでバターの香りがふわり!これをかじりながら次のシェフが「ハンカチみたいに薄いパン」を作る様子を見学。





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なんと、遠心力を使ってピザ職人も驚きの薄さまで生地を伸ばす。
専用のドーム状になった焼き機で火を通しながら、パタパタと折る。すごい。



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この後は別なキッチンでスパイスと生の唐辛子、ライムやヨーグルトを使ったソースを作るさまなどを見学。本当に興味深い。おなかがいっぱいでなかったら、もっと食べられたのに... と悔やみつつシェフたちや案内してくれたお兄さんにお礼を言って、レストランを去った。Juhu beachという場所柄、決して食事は安くはないけれど(と言っても日本よりは安い)、食を通して異文化を知るにはとても良い機会だった。


(Mumbai編、まだ続きます)
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by maikojazz | 2008-11-22 16:36 | 旅先; 西アジア
インドはずっと苦手だと思っていた。個性が強過ぎて、自分が強くないととても気がめいるような気分になる、と。
しかし。お正月のデリー以来久々にインドに来てみると、なぜか魅力と感じる箇所が倍増、または3倍増しているような気分になった。今回はまずムンバイで3泊して、ゴアへの日帰りを終えて明日はデリーへ。今のところ、不思議なほどインドに歓迎されている。



空港で見かけた、IndiGoという航空会社の飛行機。

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他に、赤とオレンジの機体で"Spice Air"というのも見かけた。インドらしくて笑える。もちろん、外から見たら窓のひとつひとつが赤く縁取られたAir Indiaも。普段行かないところで珍しい飛行機を見るのは楽しい。






空港からホテルへの道のり。オートリクシャー(日本語の人力車からきているそうな)が車線などないかのように自由奔放に走り回るさまは、ひやひやする。



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そして、目に入ってぎょっとしたのは、手書きのナンバープレート!これでちゃんと登録されてるのか... 簡単に書き直せてしまいそうだけれど... 汗




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言葉では言い表せない、彼らの生活の温かさがそこにあった。野良犬が足下で寝ていても気にすることなく立ち話をしているサリー姿の女性たち。バナナスタンド?のようなところでバナナを食べているお兄さん。お尻丸出しで走っている2歳くらいの子供。




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インドには、呼ばれないと辿り着けないという。4度目にして、本当かもしれないと思う。この地には見えない力がある。

(次回に続きます)
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by maikojazz | 2008-11-20 23:34 | 旅先; 西アジア