ブラジル人の元同僚、マルちゃんは料理の上手な男の子。ある時、長い旅の途中でロンドンの彼らのおうちに泊めてもらった。
キッチンのテーブルに私を座らせ、自分はワインを飲みながらサラダや炒めものを作っている。一緒に行って観たTate modernのフリーダ・カーロ展の感想を、また彼女の壮絶な人生のことを話し合いながら、私はワインとオリーブをつまむ。
パンと一緒にマルちゃんお手製の食事を頂いて、満たされたおなかと心で最後の一杯を飲んでいたら「明日MJが飛行機の中で食べるサンドイッチを作ってあげようね」と再び彼が席を立つ。
次の日の早朝、私は南仏のニースに出発した。一人で大きなスーツケースを転がしてヒースロー空港へ。ターミナルが4つ(当時)もあるので間違えないか、寝不足もあり不安になりつつどうにかbmiにチェックイン。成田以外の免税店は見慣れないので興味深く覗くけど、日本に帰るのはまだまだ先な上にニースでお土産を渡す相手もいない。
まだ人気のないターミナル。椅子に座り、マルちゃんが心を込めて作ってくれたサンドイッチを食べたらちょっと涙が出た。一人旅を決めたのは自分なのに、大人なのにこんなことで泣くなんて。でも、それまで数日過ごしたロンドンでの賑やかな時間とキッチンでしょっぱい生ハムをパンにはさんでくれるあの姿を思うと、胸にぐぐっと波がよせる。
機内で熟睡して少しすっきりした頭で、パリ以外のフランスに初上陸。曇り空がほとんどのロンドンに比べると、ニースは太陽がさんさんと輝くまぶしい場所だ。
空港からはバスに乗り、ニース駅まで揺られる。駅から徒歩5分ほどでホテルに着くはずだけれど…、思ったより道がたくさんあって方向音痴な私は地図が役に立たない。そばにいたタクシーの運転手さんに乗せてもらえないか聞くと「すぐ近くなんだから歩け」と。むむ、確かに(笑)。
駅に戻り、案内所でホテルへの道を聞いて歩いてみたら倍の10分かかったものの、無事にホテルに到着。一番の目抜通りでもある海岸沿いからは少し奥にある、L'hotel les cigalesの看板。
チェックインを済ませて早速、海岸沿いPromenades des Anglaisから旧市街をお散歩。ロンドンでは秋の装いで長袖を重ねていたのが、ここでは水着姿の人もいてびっくり。
浜辺でお母さんと息子が座って遊んでいたり、太陽を反射してきらきらの水面の手前に青と白ストライプのパラソルが差してある風景を見るだけで、来た甲斐があったと思えるくらい気持ちがほぐれる。
日本ではもうあまり見掛けないローラーブレードを履いて駆け抜ける人、手押し車に体重を半分くらい任せてゆっくり歩く人。それぞれのスピードで、ニースの海を見ながら風を受けている。
あぁ、私は良いところに来たな、と思った。
(次回に続きます)
キッチンのテーブルに私を座らせ、自分はワインを飲みながらサラダや炒めものを作っている。一緒に行って観たTate modernのフリーダ・カーロ展の感想を、また彼女の壮絶な人生のことを話し合いながら、私はワインとオリーブをつまむ。
パンと一緒にマルちゃんお手製の食事を頂いて、満たされたおなかと心で最後の一杯を飲んでいたら「明日MJが飛行機の中で食べるサンドイッチを作ってあげようね」と再び彼が席を立つ。
次の日の早朝、私は南仏のニースに出発した。一人で大きなスーツケースを転がしてヒースロー空港へ。ターミナルが4つ(当時)もあるので間違えないか、寝不足もあり不安になりつつどうにかbmiにチェックイン。成田以外の免税店は見慣れないので興味深く覗くけど、日本に帰るのはまだまだ先な上にニースでお土産を渡す相手もいない。
まだ人気のないターミナル。椅子に座り、マルちゃんが心を込めて作ってくれたサンドイッチを食べたらちょっと涙が出た。一人旅を決めたのは自分なのに、大人なのにこんなことで泣くなんて。でも、それまで数日過ごしたロンドンでの賑やかな時間とキッチンでしょっぱい生ハムをパンにはさんでくれるあの姿を思うと、胸にぐぐっと波がよせる。
機内で熟睡して少しすっきりした頭で、パリ以外のフランスに初上陸。曇り空がほとんどのロンドンに比べると、ニースは太陽がさんさんと輝くまぶしい場所だ。
空港からはバスに乗り、ニース駅まで揺られる。駅から徒歩5分ほどでホテルに着くはずだけれど…、思ったより道がたくさんあって方向音痴な私は地図が役に立たない。そばにいたタクシーの運転手さんに乗せてもらえないか聞くと「すぐ近くなんだから歩け」と。むむ、確かに(笑)。
駅に戻り、案内所でホテルへの道を聞いて歩いてみたら倍の10分かかったものの、無事にホテルに到着。一番の目抜通りでもある海岸沿いからは少し奥にある、L'hotel les cigalesの看板。
チェックインを済ませて早速、海岸沿いPromenades des Anglaisから旧市街をお散歩。ロンドンでは秋の装いで長袖を重ねていたのが、ここでは水着姿の人もいてびっくり。
浜辺でお母さんと息子が座って遊んでいたり、太陽を反射してきらきらの水面の手前に青と白ストライプのパラソルが差してある風景を見るだけで、来た甲斐があったと思えるくらい気持ちがほぐれる。
日本ではもうあまり見掛けないローラーブレードを履いて駆け抜ける人、手押し車に体重を半分くらい任せてゆっくり歩く人。それぞれのスピードで、ニースの海を見ながら風を受けている。
あぁ、私は良いところに来たな、と思った。
(次回に続きます)
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by maikojazz
| 2010-07-08 23:13